ドキュメンタリー

逆転無罪ミステリー|冤罪でも99.9%有罪!被害者が告白する問題だらけの日本の司法制度

2020年3月4日放送の『0.1%の奇跡!衝撃 逆転無罪ミステリー』

2019年末に、99.9%有罪になると決まっている司法から逃れるためだと、海外逃亡したカルロスゴーン氏に対し、森法務大臣が「潔白だと言うならば、司法の場で無罪を証明すべき」と問題発言。(翌日には発言を訂正していましたが…)

刑事裁判は、被告人が無罪を証明するのではなく、検察が有罪を証明する場であることは、法律をきちんと学んできた人にとっては、当たり前に理解していなければいけないこと。

つまり裁判で、たとえ無罪であっても、ゴーン氏が無罪を証明できなければ、有罪となることを意味し、「無罪を証明できなければ全員有罪だ」という、かなりヤバイ発言だったんです。

ゴーン氏の逃走により、日本のヤバイ司法制度が、世界に露呈しつつある今、冤罪大国と言われる日本で、実際にその被害にあった人たちの話をまとめていきます。

目 次

冤罪①|電車で空席に座ろうとしただけで痴漢容疑で逮捕!

痴漢の容疑でいきなり現行犯逮捕

痴漢の冤罪被害にあったのは、エリート営業マンIさん。

いつものように、大阪市内の会社へ出勤するため、和歌山と大阪難波を結ぶ約65kmの南海高野線に乗車。

朝はラッシュでなかなか座ることができないが、途中で急行へ乗り換える人が多いため、Iさんはそのタイミングで、席が空かないか探していると、ちょうど空席を発見。

空いた席に座ろうと、立っている人の間を抜けながら、席へ向かっていたその瞬間、いきなり男性2人に囲まれ、ホームへ連れ出されてしまう。

「痴漢の現行犯逮捕だ!」と2人の刑事に言われたIさん。

とっさに弁護士を要求するが、現行犯で弁護士を呼ぶのは無理と言われ逮捕されてしまった。ちなみに、

現行犯だから、弁護士を呼べないというのは警察官のウソです。

電車に警察がいた理由

2週間前、同じ人物から痴漢の被害を受けていると女性が警察に相談。

警察は同行警乗(痴漢被害者が、私服警察官と共に乗り、犯人を摘発する方法)で、犯人を捕まえようとしていたところに、偶然、被害女性に近づいたIさんが、犯人として逮捕されてしまったのだ。

当番弁護士によって見えた希望

身に覚えのない罪でいきなり逮捕され、連日の取り調べに精神的に限界だったIさん。

「触りましたと言えば、家に帰れる」

「前科なんて人にバレないんだから認めちゃいなよ」

警察は巧妙な手口で、Iさんになんとか自白させようと迫ってくる。「別に認めてもいいかな…」とIさんは思い始めていたとか。

そこ現れたのが当番弁護。

当番弁護士とは、突然警察に逮捕された人のために、弁護士に1回無料で相談できる制度。警察に当番弁護士を読んでください言えば、利用できる。

「警察はあの手この手を使って、嘘の自白をさせようとしてくるはずです。ここを絶対に耐え切ってください。」と弁護士は、Iさんを励ました。

自白を強要する警察

痴漢冤罪事件は、自白が決定的な証拠となり、起訴され有罪が確定してしまうケースがほとんど。

自白を取りたい警察は、弁護士の言っていたとおり、あらゆる手で自白を引き出そうとする。

痴漢の捜査で家宅捜索は常套手段。本やDVD、パソコンの履歴から、痴漢や盗撮に関係する、大人向けの動画などがあれば、証拠として押収。

Iさんの場合は、被害者の衣服の繊維が、手に付着しているかを調べる微物鑑定が行われた。もし繊維が検出されれば、触っていた証拠になる。

更に、本来なら任意なのに有無を言わせず、嘘発見機にまでかけられていた。

家宅捜索、微物鑑定、嘘発見器。いずれも証拠が挙がらなかったのか、その結果はIさんに知らされなかったと言う。

逮捕から20日に釈放されるも保釈金200万円

逮捕から10日経つと、警察官に更に10日間、拘留が伸びると言われたIさん。

現行犯逮捕を理由に、大阪府迷惑防止条例違反(痴漢の罪)で起訴されてしまったのだ。

20日後保釈されたIさんだが、保釈金はその日に現金で200万円。

ご両親が必死で現金を用意してくれたそう。

無事、釈放されたが、お客さんとの信頼関係が第一の保険のサラリーマンだったIさんは、勤め先の会社から、無罪判決が復職の条件と言われ、仕事に復帰ができず辞職。

収入も無くなったため、Iさんは住んでいた部屋を引き払い、実家に暮らし、アルバイトをするしかなかった。

圧倒的不利な状況での裁判

現行犯逮捕と被害者女性に触れた可能性を認めてしまったことで、検察側が有利な状況で進められた裁判。

朝のラッシュで、人に触れないでいることが難しい状況だったため、触れたかもしれないことを、Iさんは正直に話していたのだ。

痴漢裁判の最大の論点は、”触れた”か”触れていないか”。

触れたことを認めてしまったのは、かなり不利な状況。

同行警乗していた女性警察官は、Iさんが触った瞬間をはっきり見たと主張し続けていた。

そこで弁護人は、Iさんが被害女性に、どれぐらいの時間触っていたのか、触れていた時間に焦点を当てて尋問

すると女性警察官は、Iさんが触ったのは一瞬だったと証言

痴漢をしていたのが一瞬であったというのは、明らかに不自然。

この尋問によって、被害女性の身を案じ焦って逮捕した可能性を示した

裁判所は、「接触の時間もごく短時間であって、直ちに痴漢の意図で触ったと即断することはできない。」とし、逮捕から8か月、Iさんは無罪を勝ち取った。

同じ目に合わないよう、結局は自分で自分の身を守るしかないと語ったIさん。現在は普通の生活を取り戻したそうです。

冤罪②|築地へ仕入れに行っただけなのに暴行容疑で逮捕!

指一本触れていないのに、警察官の暴行容疑で逮捕

築地ですし店を営む二本松さん。

その日も、いつものように夫婦で、築地へ魚の仕入れに行っていた。

仕入れを終え、帰ろうとする二本松さんの車の前に、いきなり女性警察官が立ちふさがった。

「ここは駐車禁止エリアだ」という女性警察官。

二本松さんが、今すぐ車を移動させると言っても、どこうとしない。

エンジンをかけてて、すぐ車を移動させようとしているのに、何が問題なのかと、理不尽な取り締まりに対し、次第に二本松さんと女性警察官は口論に。

興奮した女性警察官は、免許証を出せと二本松さんに迫ってきた。

これでは”らち”が明かないと、車に乗り込んで帰ろうとする二本松さん。すると今度は、ドアを掴んで、女性警察官が行く手を阻んでくる。

「分かりました話合いましょう」

冷静に対応しようとする二本松さんに、女性警察官はいきなり警察無線を取り出し、「暴行を受けています!」と通報。周りにいた野次馬たちに向かって、「暴行されました!」と叫ぶ始末。

駆け付けてきた警察官に、二本松さんは暴行容疑で逮捕されてしまう。

警察が主張した、でっちあげストーリー

逮捕されてしまった二本松さんを待ち構えていたのは、警察によるでっちあげられた暴行容疑での取り調べでした。

女性警察官に全く触れていないのに、でっちあげられた暴行容疑はこれ。

でっちあげ①
両腕をL字に曲げ、肘で胸を直接7~8回突いたとウソの主張。

でっちあげ②
帰ろうとすると、女性警察官が外側からドアを掴んできたのが事実なのに、逃走を阻止するため、ドアの内側に入ったところ、押し付けられたドアが右手首に当たり全治10日間の障害を負ったとウソの主張。

二本松さんはもちろん、無実を主張するが、全く聞き入れてもらえずそのまま拘留。

検察官が捏造!警察は証拠隠し

公務執行妨害で逮捕された二本松さんは、検察官に取り調べられることに。

しかしその検察官がクセ者だった。

「肉体的接触はあったが、傷害は負わせていないって事にすれば、罪は軽くなる」

実はこの検事、”落とし所”を提案し、嘘の自白をさせる、ミセス落とし所だったのだ。

日に日に追加されていくでっちあげに、つい反論する二本松さんだが、さらに「起訴しない」条件で、嘘の自白をそそのかしてくる検事

二本松さんは、精神的に限界がきていた。

そこに希望の光が。なんと妻が目撃者を見つけ出した。

その目撃者はすでに、暴行が無かったことを警察に証言。事件当時の目撃者によると、周りには100名くらいの野次馬がおり、暴行が無かったと多くの人が証言していた。

しかし、その証言を聞いた警察は目撃者を無視。自分たちに不利になる証言を拒否していた

拘留19日目。店や家族にもこれ以上負担をかけられないと、検事が捏造した悪魔の自白調書に、ついに署名してしまった二本松さん。

起訴猶予で釈放された。

なぜここまでして、検察は起訴を避けたかったのか?

二本松さんの事件を担当した弁護士によると、不当逮捕が明らかになると、警察の上層部まで責任を負う事になり、問題を大きくしなくなかったのではないかとのこと。

苦難の道を覚悟で「国家賠償請求訴訟」を起こす

二本松さんが拘留されている間、店の切り盛りを一人でしていた妻は、6kgも激やせ。

その様子を見て二本松さんは、自らの無罪を明らかにするため、法律について猛勉強。

事件発生から2年後、国家賠償請求訴訟を起こす決心をする。

国家賠償請求訴訟…警察や検察などの公権力を相手に、国民側から裁判を起こす事。

しかしそれは、苦難の道。

弁護士によると、“国家賠償請求訴訟は、ほとんどは訴えた方が負ける”という。

その理由として、弁護士は以下のように語っている。

「警察側の証拠を入手できない」

「裁判官は、警察が嘘を言うはずがないと思っている。何の証拠も、何の証人も出さないけど、裁判官は国側の言い分を認めて、国民の方の言い分には耳を貸さない。」

国家賠償請求訴訟を起こしてから、証拠提出を巡る攻防は6回にも及び、事件から4年経ち、ようやく事件直後の女性警察官の言い分が掛かれた供述調書を入手した二本松さん。

これが、逆転を生む鍵となった。

事件から6年後、裁判が始まる

証言台に立ったのは、二本松さんに言いがかりをつけてきた女性警察官。

弁護人は、警察がでっちあげた2つ暴行容疑について追及すると、ボロボロと滑稽な証言が出る事で、そのウソが明らかになっていった。

でっち上げ①「肘で殴られた」のウソ

まずは警察側を弁護する指定代理人の尋問が始まる。

代理人:どのような暴行を受けましたか?

女性警察官:両肘で交互に胸を突いてきました

代理人:直接当たりましたか?

女性警察官:いいえ、とっさに切符カバンで胸を覆いました

代理人:切符カバン越しに衝撃を受けたと?

女性警察官:はい。

事件当初は、「胸に直接ひじ打ちされた」と言っていたのに、いつの間にか、検事が描いた「切符カバン越しの暴行」に近づけた証言になっていた。

しかし、これが逆転への決め手となる。

「この写真は何ですか?」

弁護人が見せたのは、事件直後の実況見分調書。そこに、切符カバンなど写っていないことを指摘した。さらに高梨巡査の供述は、事件当初から現在に至るまで、その都度コロコロと内容が変わっていると指摘。

実際に証言は4回も変わっていた。⇒現在の裁判「切符カバン越しに暴行を受けた」

「こんな定まらない供述、嘘を付いている以外、何物でもない!」という弁護人に、

言葉に詰まる高梨巡査。

弁護人はさらに追い打ちをかける。

でっち上げ①「ドアに挟まれ右手首負傷」のウソ

警察側の主張では、二本松さんから肘打ちの暴行を受けた高梨巡査が、逃走しようとする二本松さんを阻止するため、車のドアの内側に入ったとき、閉めてきたドアに右手首が当たり負傷。「これはありえないんです」と弁護人が突き付けたのは、事件直後の高梨巡査の供述調書。

供述調書には、「両肘で胸を突いてきたとき、運転席側のドアが開いており、そのドアの内側に立っていた」と書かれていた。

つまり、二本松さんと高梨巡査は、向かい合って立っていた状態。そこでドアを閉めたときに、手が当たったとすると、左手首ではないと不自然なのだ。しかも、暴行を受けたと野次馬に主張していたのが左手だったことを、複数の目撃者が証言していた。

判決まで9年1ヵ月。

「高梨巡査の供述は、信用に値しない」という理由で、二本松さんは勝訴

被告は原告に240万円の支払いを命じられた。

そんな事で!?驚愕の不当逮捕の理由

しかしなぜ、不当逮捕してまでムキになったのか。

それは取り調べで検事が教えてくれたという。

「あなたの奥さん、警察官が嫌いなの?婦人警官が車の横を通ったとき、下を向いて挨拶もしなかったので、ムカっと来た。」

これが逮捕の本当の理由だった。

事件当時、寝坊してスッピンだった二本松の奥さん。高梨巡査が車の横を通ったとき、顔を見られるのが嫌だったので、とっさに顔を背けただけだった。

この事件以後、奥様はスッピンで出歩くことは無くなったという。

冤罪③|息子を可愛がっていただけなのに虐待の疑いで逮捕!

つかまり立ちをしていた息子が転倒!手術には成功するが…

2017年7月(事件の1ヵ月前)、田中さん夫婦は結婚16年目。

なかなか子宝に恵まれなかったが、不妊治療の結果、ようやく待望の子供を授かり、幸せの絶頂にいた。

ある日、夕食の準備をしていた優子さんは、7ヵ月になる息子の誠君が、おぼつかない足取りで、つかまり立ちをしている姿見て、急いで駆け寄ろうとした。

その瞬間、誠君はは後ろ向きで転倒。

慌てて駆け寄った優子さんが誠君を抱き上げると、誠君は大きな声で泣き出した。

その声を聞いて安心した優子さん。

しかしその声はすぐに止んでしまった。誠君は失神状態だった。

すぐに救急車で病院へ運ばれた診断の結果は、急性硬膜下血腫。

脳から出血した血液が、頭蓋骨との間に溜まり脳を圧迫している状態で、放っておけば脳に大きな損傷を残すことになる。

すぐに緊急手術を受ける事に。それは5時間にも及ぶ大手術だったが無事成功。

しばらく入院すれば、元の生活に戻れることに。

ところが医者は、田中さん夫婦にこんな言い方をしたという。

「普通転んだだけじゃ、あんな風にならないんですけどね。。。」

今思えば、虐待を疑っていた言い方だったという田中さん夫婦。

児童相談所から突如呼び出される

事故から1週間後、優子さんの携帯電話に、児童相談所から、話を聞きたいから来て欲しいと、突如電話がかかってくる。

呼び出された田中さん夫婦に、児童相談所の職員は、事故の詳細を聞いてきた。

聞かれた通り、事故当時の状況を説明した優子さん。

ところが、誠君が倒れたあと、優子さんがどんなケアをしたかの話になると、突然”あること”を繰り返し尋ねてきた。

「その時、揺さぶりませんでしたか?」

「泣き止まないからと、誠君の頭を、強く揺さぶりませんでしたか?」

事故から2週間後、なんと児童相談所の職員が田中さんの家に訪ねてきて、現場を調査するまでに発展。

「こんなに低いところから転倒しただけで、あんなケガしますかね?」

「本当に揺さぶったりしていませんか?」

優子さんは、揺さぶられっこ症候群による虐待を疑われていたのだ。

大阪府警による家宅捜索と児童相談所による保護

更に事故から6週間後、児童相談所から連絡を受けた大阪府警が刑事事件として捜査を始め、誠君への傷害容疑で、田中さんの家に家宅捜索にやってきた。

虐待の事実がない以上、調べられて困ることはないと、田中さん夫婦はそれを受け入れた。

その後、さらに詳しい話が聞きたいと、いつもなら誠君の見舞いにいく朝9時に、児童相談所に呼び出された田中さん夫婦。

そこで診断の結果、誠君のケガは事故によるものだと判明したと聞かされる。

これで安心して元の生活に戻れると、ホッとしたのもつかの間、職員から「誠君を保護させていただきました」と聞かされる。

児童相談所は、「疑わしきは保護」という考えで動いたのだ。

保護された誠君には、週に1度1時間だけの面会しか許されず、面会の間も職員による監視が付いていた。

その時の職員の記録が残っている。「息子にやっと会えて、胸がいっぱいになって流す涙も、ヒステリックな母親」と記録され、犯罪者と決めつけていることに、ムカついたとその時の気持ちを話す優子さん。

揺さぶられっこ症候群研究の第一人者による診断を依頼

優子さんの無実を信じていた夫の英司さんは、虐待冤罪事件に関する資料を集め、食事をとる時間も割いて猛勉強。

1年間で体重は15kgも落ちてしまったという。

そして揺さぶられっこ症候群を調べる中で、ある医師に辿り着く。

脳神経外科医の権威で、乳幼児の症例を多くみてきた、揺さぶられっこ症候群研究の第一人者、青木信彦先生だった。

青木医師は、誠君の画像データによる診断を快諾してくれた。

傷害容疑で突然の逮捕

事件から1年1ヶ月後、優子さんは誠君への傷害容疑で逮捕。

当時のニュース映像でも、明らかに虐待を行ったと決めつけた報道がされていた。

「おまえが虐待したんだろ!」

「おまえは母親失格だ!」

警察は、完全に優子さんを犯罪者扱い。自白を強要してきた。

ところが逮捕されて3日目の夜、優子さんは突然釈放される。

青木医師による診断結果、「これは虐待ではない」

優子さんが釈放された理由。

それは逮捕前、田中さん夫婦が診断を依頼した青木医師が、「これは虐待で起こる症状じゃない」と、はっきり断言したからだった。青木医師がそう断言した根拠は、画像データを見れば一目瞭然だという。

(左の画像)虐待の場合、強い外的な力が働くので、脳に損傷が起こる。
(右の誠君の画像)脳と頭蓋骨の間に血種が見られるが、脳には損傷は無い。

児童相談所の判断はガイドラインに従っただけだった

青木医師によると、日本の虐待診断のガイドラインに従うと、虐待とするのが一般的だという。

厚生労働省が発行している、「子ども虐待対応の手引き」を見ると、

「90cm以下から転落や転倒で、硬膜下出血が起きることは殆どない。硬膜下血種を負った乳幼児が受信した場合は、必ずSBSを第一に考えなければならない。」

と記載されている。

しかし青木医師は、硬膜下血腫が、軽い転倒でも起こることは、40年前からわかっている。揺さぶられっこ症候群のガイドラインは、すぐに改めるべきだと語った。

児童虐待件数が「全国1位」の大阪

優子さんが、虐待を真っ先に疑われてしまったのには、もうひとつ理由があった。

厚生労働省の調べによると、田中さん夫婦が住む大阪府は、児童虐待対応件数が、毎年全国1位。

そこで大阪府は、2017年大阪府警に全国初の「児童虐待対策室」を設置し、虐待を防ごうと意気込んでいた時期だった。

しかし、意気込み過ぎた結果、児童虐待の無罪判決が多発

504日目にして、ようやく誠君は田中さん夫婦の元に帰ってきた。

冤罪④|選挙応援をしただけなのに逮捕!

突然、ありもしない事件の容疑者として逮捕

警察がでっちあげた、ありもしない事件の容疑者として逮捕された被害者、川畑幸夫さん。

経営していたホテルも順調で、人望も厚く、時折たずねてくる孫たちに囲まれ、幸せに暮らしていた。

事件は、4年に1度の統一司法選挙で、無所属で県議会議員選挙候補者の中山信一さんが当選した翌日に起きた

これまでは、定員3名の中で候補者3名だったため、無投票選挙で終わっていたが、中山議員が立候補したことで、選挙となっていた。志布志警察署の刑事が、「選挙のことで川畑さんに聞きたいことがあるから来てほしい」とやってきた。

「少年補導のことで、何か聞きたいことでもあるんだろうか。」と、特に疑問に思わず、快く警察へ行くことを承知した川畑さん。

実は10年以上も前から、警察の要請で防犯パトロールをしていたので、川畑さんと警察は、日ごろから信頼関係が結ばれていた、、と思っていた。

「あんたが賄賂渡したことはわかっとる!」

川畑さんは、中山議員を当選させるため賄賂を渡した容疑をかけられ、連日強引な取り調べを受けることになってしまう。

警察がでっちあげた事件のストーリー

警察が作り上げた、事件のストーリーは3つ。

でっち上げストーリー①
選挙参謀の川端さんは、ビールを配り村人を買収。

でっちあげストーリー②
中山候補の部下の女性が、地元の人々に、焼酎と現金を渡して買収。

でっちあげストーリー③
中山候補夫妻と部下が、会合を開きそこで現金を配って買収。

そしてなぜか、通常なら選挙後に、違反が無かったかチェックする選挙捜査班が、選挙中に立ち上がっており県警本部に設置されるはずが、志布志警察署に設置されていた。

こうしてやってきたのが、鹿児島県警捜査二課 山辺明宏警部と池田彰利警部補。

この捜査班の取り調べが、とんでもないものだった。

取り調べで恫喝!揚げ句の果てに踏み字を強要

「でっち上げストーリー①ビール買収」について、確かに川畑さんは、頻繁にホテルを利用してくれる、建設会社社長にビールを渡したが、それは選挙参謀になる前の、お歳暮だった。

賄賂なんて渡していないと否定し続けるが、任意にも関わらず、池田彰利警部補に川畑さんは朝8時から夜10時過ぎまで、恫喝による取り調べを受け続けた

取り調べ開始から3日目、川畑さんにとっては今でもその屈辱で、怒り悲しみがこみ上げてくる忌まわしい出来事が起こった。

賄賂容疑を認めない川畑さんに、山辺警部は池田警部補に、もっと追い込めと指示。

すると池田警部補は突然、3枚の紙に何かを書き、その紙を川畑さんの足元に置いた。

そこには、川畑さんの実父、義父、長女の孫の名前とそれぞれのメッセージが書かれていた。池田警部補は「おまえの態度は、親族の気持ちを踏みにじるものだ!」と川畑さんに言うと、川畑さんの足を持ち上げ、無理やり家族の名前とメッセージが書かれた紙を、踏み付けさせた。

今でもそのことを思い出すと、川畑さんは涙が止まらなかった。

川畑さんは精神的苦痛から、2週間の入院を余儀なくされる。

でっちあげた事件の容疑者にするターゲットを探す警察

警察は川畑さんがダウンすると、他のターゲットを探し始めた。

中山候補の稼業はいも焼酎の製造販売。ターゲットにされたのは、その焼酎の工場で働く部下の辻本さんという女性だった。

「あんたが中山に頼まれて、焼酎を配ったという情報が入っとるんだ!」

辻本さんはもちろん、身に覚えがないことなので否定すると、池田警部補はさらに恫喝する。

「認めれば帰れるんだぞ!認めないなら親や兄妹、子供まで逮捕するぞ!」

取り調べは737時間、拘留は115日にも及んだ

精神的に追い詰められた辻本さんが、「死にたい」とつぶやくと、池田警部補は「俺の前で死ね」と冷たく言い放ったという。

自白しないからと供述書まで捏造した警察

なかなか自白しない辻本さんを更に追い込むため、警察は他のターゲットとなる村人を、警察に連れてきた。

そして仮の話として無理やり話をさせると、その話を本人が自白したかのように供述調書にまとめ、辻本さんから焼酎と現金を受け取ったと自白したとして、辻本さんを追い込んだ。

「おまえのせいで、何人もの人が捕まって、仕事もできず困っとるんだ!」

辻本さんは他の人をこれ以上巻き込めないと、やってもいない容疑を認めてしまった。

そしてついに、最悪の悲劇が起こる。

警察に自白を強要された、懐俊裕さんは取り調べを受けてから、精神的に追い込まれ自殺未遂をしてしまう。

幸い、近くを通りかかった釣り人を発見され、大事には至らなかった。
「逮捕されたその日から、仕事に行っていない。生活が一番苦しかった。今でも、警察や検事に対しては、憎んでも憎み切れない悔しさがある。」と懐さんは語った。

全ては鹿児島県警の指示だった

なんとしても、事件をでっちあげようと、暴走する警察。

ビール買収で追及を諦めた川畑さんを、賄賂の容疑で再逮捕する。今度でっちあげた川畑さんの容疑は、会合買収。

中山候補夫妻が、現金200万円を配るために、開いた会合の司会を、川畑さんが勤めたというのだ。度重なる警察の暴走に、ついに怒りを抑えきれなくなった、川畑さんの妻・順子さんは、抗議のため志布志警察署へ電話を掛けた。

その時の会話を、順子さんはしっかり録音している。

すると志布志署の警察官からは、思いもよらない言葉が出てきた。

「川畑さんの事は、私もよう知っとるんですよ。ホテル枇榔の人は、良くして下さる。大事にせないかんと言うとるんですけども。本当に申し訳ないと思っとるんですよ。」

警察官はひたすら、奥さんに対し「申し訳ないと」30回以上も謝罪を続けた。

今回の行き過ぎた取り調べは、県警本部の命令。地元警察も疑問を抱いていたのだ。

鹿児島県警の暴走

警察の暴走は止まらず、事情聴取を拒否した住人を、無理やり逮捕し強制的に連行。

その時の様子を録音したデータもあった。

逮捕状には、賄賂として6万円を受け取ったと記載がされていた。取り調べもしていないのに、なぜ具体的な金額が書かれていたのか。異常な逮捕状だった。

川畑さんは自白しなかったため、起訴されず釈放。

それでも中山候補夫妻をはじめ、13人が何の証拠もないのに逮捕・起訴された。検察はその捜査を鵜呑みにし起訴した。

強要された自白を元に弁護側が作った、裁判資料のコピーには、会合は4回、村人に渡したとされる具体的な金額まで、でっち上げられている

不思議なのは、4回行われたとされている会合の日付が、1回目と4回目しか記載されていないこと。

席順や金額まで”自白”によって細かく分かっているはずなのに、日付だけ特定されていないのは明らかにおかしい。しかし、この特定された日付が、全員無罪の大逆転の鍵となる。

逮捕・起訴された村人全員が勝ち取った逆転無罪の鍵

全員無罪の大逆転の鍵となったのは、川畑さんの妻・順子さんの習慣だった。

順子さんは普段から、仕事も多く、物忘れしやすいからと、当日の予定などをメモする習慣があった。

第1回目の会合があったとされる、2月8日のホテル台帳にも、その日の予定を順子さんが書いていた。

2月8日「シゲちゃんは同窓会。また信ちゃんも。」

シゲちゃんとは中山候補の奥さん、信ちゃんとは中山候補自身のこと。

その日は、車で片道40分離れたホテルで、中山候補夫妻が幹事を務める、同窓会が開かれていた。

中山夫妻は幹事のため、最後まで残っていたと、同席者の証言も残っていた。

選挙当日に山辺警部がとったあり得ない行動が明らかに

投票日だった4月13日。なんと、山辺警部は中山候補のライバルである旧知の間柄である候補者と、会っていたのだ。

警察官が特定の候補者の所に、選挙買収についての事情を聴きに行くことは、特定の候補者と警察が、つながっていると疑われる可能性があるので、通常はやってはいけない捜査。

選挙の公正を、疑わしめる行為で、許されないこと。

しかも山辺警部と志布志警察署の署長は、同期という旧知の間柄。

この山辺警部は、前年に別の賄賂事件を捜査。

この時も事件そのものは存在せず、建設会社社長を犯人と決めつけ、厳しい取り調べを行ったが、行き過ぎた捜査と、自白強要が問題となり、他部署へ左遷されていた。

今回、古巣で選挙捜査班長に抜擢され、汚名返上の絶好のチャンスだった。

そこで、突然立候補し、当選してしまった新人の中山候補に、目をつけたのだ。

全員無罪!しかし鹿児島県警から謝罪の言葉はひとつもなし

2007年2月23日、4年の月日を経て、逮捕・起訴された村人全員が無罪となった。

しかしこの件に関して、鹿児島県警を一言も村人に対して、謝罪をしていないという。

「組織自体が腐っている」と語る川畑さん。

その後、応援してくれる人々によって、川畑さんのホテルは大繁盛している。

冤罪から身を守るにはどうしたら良いのか

他人事のように感じてしまう冤罪事件。

しかしこれらの事件を見ると、いつ自分が被害者の方々と同じ目に合うか分かりません。

ではどうやって冤罪から自分を守れば良いのか?

紹介した4つの事件から読み取れるのは、証拠が全てだということ。

番組に出演していた一人の弁護士は、スマホの活用を進めていました。

自分以外の人が、冤罪に巻き込まれそうになっているのを、万が一目撃することになったら、スマホを活用するのは一つの手段として使えそうですね。

志布志事件を見ていても、法律に明るくないことをいい事に、警察の言うことが正しいと思い込んでしまう傾向はあると思います。

万が一のことを考え、弁護士や専門家などの知識を借りる手段があることを、忘れずにいましょう。